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第2回 神奈川CT愉しむ会 総会」

     参加報告

 

聖マリアンナ医科大学病院 阿部 圭吾

2024年2月10日(土)に第2回 神奈川CT愉しむ会 総会が横浜情報文化センターで開催されました。本セミナーには80名以上の医療従事者が参加し、症例検討、技術講演および特別講演が行われました。僭越ながら本セミナーの内容と印象について報告させていただきます。

症例検討 「下肢閉塞性動脈疾患」~2点テストインジェクション法はここが凄い!~

      昭和大学横浜市北部病院 松本 渉 先生

技術講演 「2管球なら2刀流!」~Dual Source CTの実力と可能性~

      東海大学医学部付属病院 片山 拓人 先生

技術講演 「循環器領域の手術支援」~Fusion・実物大模型・Virtual Reality~

      函館五稜郭病院 大須田 恒一 先生

特別講演 「CT検査を生かす 技師の機転」

      北里大学医学部付属新世紀医療開発センター

      横断的医療領域開発部門.IVR(画像下治療)学 ウッドハムス 玲子 先生

 

 症例検討 「下肢閉塞性動脈疾患」~2点テストインジェクション法はここが凄い!~

抹消動脈疾患ガイドラインをもとに下肢閉塞性動脈疾患の分類や病態といった基礎内容を導入に、2点テストインジェクション法を用いた下肢動脈の撮影法やワークフローについて詳細にご講演いただきました。先方の2点テストインジェクション法では横隔膜と下腿中央の2点でTDCを測定することで大循環を確認し、撮影開始時間や撮影時間(HP、ローテーション時間)を最適に設定することで抹消まで良好なCT値が得られるという結果が示されていました。患者個人の血流速度に合わせて撮影範囲全体のCT値にばらつきの少ない撮影ができること、石灰化や血流の左右差の影響を考慮して最適な撮影ができるなど利点の多い撮影法に感じました。

 

 技術講演 「2管球なら2刀流!」~Dual Source CTの実力と可能性~

Dual Source CTの撮影モードなど基礎的な内容からはじまり、マーキュリーファントムを用いたDual SourceとSplit FilterにおけるDual Energy CTの基礎性能の比較、同電圧を用いたDual Source CTの高速撮影についてご講演いただきました。Dual Energy CTではDual Sourceにおいて高電圧側にSn Filter を使用することで低KeV領域まで非常にエネルギー弁別の良好な結果が得られると示されていました。同電圧を用いたDual Source CTでは高HPによる高速撮影によってモーションアーチファクトが抑えられ、小児や心臓など時間分解能を要する撮影で効果を発揮すると示されていました。FOVの制限を受けてしまいますが、Dual Energyによる造影剤や被ばくの低減、高速撮影時のモーションアーチファクトの低減などDual Source CTの魅力を学ぶことができました。

 

 技術講演 「循環器領域の手術支援」~Fusion・実物大模型・Virtual Reality~

心臓同期療法に向けた冠静脈CTと心筋血流SPECTのFusion画像の作成、心臓の3Dやそれをもとにした実物大模型の作成、Virtual Realityを用いた術前シミュレーションなどの循環器領域の手術支援についてご講演いただきました。Fusion画像では心筋バイアビリティと心内構造を含む形態評価を合わせることができ、良好な治療効果が得られたと示されていました。実物大模型やVirtual Realityを用いた患者への説明から術前シミュレーションによる医師の術式の確認など手術支援へ多様に貢献できる技術だと感じました。また、術前評価・手術説明・術後評価が手術支援という言葉には感銘を受けました。

 

 特別講演 「CT検査を生かす 技師の機転」

実際の依頼目的や選択プロトコルから撮影された臨床画像をもとにウッドハムス先生による所見、病態の解説、更には医師目線から撮影範囲や撮影時相の要望などを詳細にご教授いただきました。大動脈解離や腸管虚血、消化管出血など代表的な疾患から喀血や産科出血など複数血管が関係する疾患まで多くの疾患をわかりやすく解説いただき、日常業務にすぐにフィードバックできる内容ばかりでした。患者様はリスクと引き換えに検査を受けられているので、適切な時相での撮影や病態によっては遠位からの栄養血管まで含めるなど状況に合わせた撮影範囲の設定など技師としてできることを精一杯やることが大切だと感じました。

「4th
Joying CT in Kanagawa Meetup with 神奈川CT研究会」
参加報告

 

東海大学医学部付属病院

吉田 亮一

2023年10月6日(金)に第4回 Joying CT in Kanagawa Meetup with 神奈川CT研究会が川崎市中原市民館ホールで開催されました。

このセミナーには、80名以上の医療関係従事者が参加し、大動脈疾患に焦点を当てたクリニカルセッションとテクニカルセッションが行われた。以下に、このイベントの内容と印象を報告します。

 

Clinical session

セッションタイトル「大動脈疾患 画像検査と診断のポイント」

講師:国立循環器病センター 小徳暁生先生

Technical session

セッションタイトル「大動脈疾患 撮影プロトコル 検討会」

講師:

川崎幸病院 渡部智彦

聖マリアンナ医科大学病院 石郷健斗

昭和大学藤が丘病院 平井良明

北里大学病院 白岩知将

 

Clinical sessionでは国立循環器病センターの小徳暁生先生がガイドラインをもとに、大動脈疾患領域の考え方を分かりやすく説明してくださいました。技師が知っておくべきポイントについて学ぶことができました。また、STAT画像報告に対応できるように放射線技師の役割を医師の視点から考えていただき、理想的なフローについて学びました。具体的な症例を通じて、一緒に考える時間もあり、現場でのやりとりは日常的なスキルに近く、大変勉強になりました。ディスカッションの時間では、医師と技師の視点を組み合わせ、病院ごとの違いを考える機会があり、非常に興味深いものでありました。まさに日々の日常、次の日からタメになる情報が詰まったセッションでした。

 

Technical sessionでは各施設における大動脈撮影のプロトコル、その中での施設ごとの推しポイントを説明していただきました。生食の有無やBT法、TI法、時間固定法など各施設こだわりのある撮影方法を紹介していただきました。個人的には、昭和大学藤が丘病院の2ml/s注入での時間固定法が印象的で、検討する価値があると感じました。

Clinical sessionのディスカッションで小徳先生が「色々な撮影方法があるが重要なのは技師の撮影画像と画像診断科医師の読影で依頼医を納得させることができるかどうか」とおっしゃっており、まさに、今回発表していただいた施設はそれぞれの施設なりの考え方がプロトコルに集約されていて、依頼医を納得させることのできるものだと感じました。各病院が異なるプロトコルを持つ理由を理解し、自施設に合ったプロトコルを作成し、その意義と理由を明確に理解することが重要であることを感じました。

 

今回、第4回 Joying CT in Kanagawa Meetup with 神奈川CT研究会に参加して、一つの領域においても医師技師それぞれの考え方があり、また病院それぞれの考え方もあり、あらためて日常の診療をみんなで考えることは重要だと感じました。また、大動脈領域だけで、数多くのプロトコルが存在することに驚きました。このイベントを通じて、知識の幅を拡げ、日常業務に役立つ情報を得ることができました。今後も同様の研究会への参加を検討し、専門知識の向上に努力していきたいと考えています。

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照明

第3回

Joying CT in Kanagawa Meetup 参加報告(2023.7.21)

日本鋼管病院 黒澤 靖之

 2023年7月21(金)に第3回 Joying CT in Kanagawa Meetupが開催されましたので、参加報告をさせていただきます。

本セミナーは川崎市総合自治会館を会場として開催され、83名の医療関係者が参加されていました。

以下の内容で構成されていました。

Free session

 『JRC Review』~私はここに注目しました~

Clinical session

 『Case report』~case.1右下腹部痛~

シリーズ企画 みんなで学ぼう物理特性

  2限目:『MTF』の活かし方』~折り返すってどういうこと?~

 

 Free sessionでは若手、ベテランそれぞれの視点からご発表いただきました。

若手視点として、横浜市立大学付属総合医療センターの富岡あや子先生から広島大学病院、松本氏【造影CTにおける血管外漏出の危険因子の検討】の演題に注目され、造影剤血管外漏出の要因として、注入速度、穿刺針サイズ、抗がん剤使用の有無、既存抹消ルートか否かであるとの報告をしていただきました。富岡先生のご施設では、抹消ルート確保困難症例について、血管外漏出センサーの使用を考慮しておりセンサー使用時の注意点として、センサー位置、造影前の生食testの重要性をお話しいただきました。さらに造影CTに携わるスタッフは放射線科医による講習、実技、確認テストをパスする必要があり全スタッフが高い技術と意識で業務を行っていると感じました。

 ベテラン視点として、東京ベイ・浦安市川医療センターの小島基輝先生からは国立循環器病研究センター、奥山氏【Aortic Valve Calcification on Virtual Non-contrast Images Derived from Dual-energy Myocardial Delayed Enhancement CT in Severe Aortic Stenosis】の演題に注目され、Dual Energy CTによる仮想単純撮影の石灰化定量について報告していただきました。造影後でもヨード成分を抽出差分することで仮想的な単純画像を得ることが可能で、症例によっては単純撮影を省略し被ばく低減、スループット向上が図れます。しかし、仮想単純画像で石灰化定量すると過小評価してしまうことがあるそうです。改善には画像作成計算アルゴリズムの最適化、Photon Counting CTの使用など、より精密な物体弁別を可能にする必要であると考察されていました。

 

 Clinical sessionは、聖マリアンナ医科大学病院の新田正浩先生から右下腹部痛の症例画像をお示しいただきました。今回のセミナーの試みとして、会場のQRコードを読み取っておくと示された症例に対して当てはまる病名がいくつか表示され、来場者自身が自分の端末上で答えられるシステムを使用しました。右下腹部痛と聞くと想像する症例がありますが、新田先生はご経験を踏まえ、先入観にとらわれず注意して画像を確認することの重要性をご講演いただきました。さらに、STAT画像報告についても触れ、特に重要な症例については、ご施設では画像カンファレンスを行い、緊急度の高い画像所見をいち早く発見できるようにしているとのことでした。今回の症例は、メッケル憩室炎による穿孔、虫垂炎は同部位からの炎症波及によるものと判断されていました。よって正解は、消化管穿孔と憩室炎です。ハイレベルな症例でした。

 

 シリーズ企画は、物理特性2限目となり神奈川県立循環器呼吸器病センターの太田陽一郎先生から、同じMTFの異なるFOVはどう考えるのか。と問題提起がなされました。解答は、ナイキスト周波数より、低域の分解能が変わらない。になります。つまり、DFOVサイズによりナイキスト周波数が変化するため、同じMTFでも表現不能領域が変動することです。DFOVを小さくし対象物を大きく高精細にみせるHRCTを例に挙げ、ナイキスト周波数を考慮して結果や画像をみること。と結論付ける内容でした。

 

 今回、第3回 Joying CT in Kanagawa Meetupに参加し、自らの知識を深めることができました。今回、質疑応答は自分の携帯端末からの投稿も可能でしたので手を上げにくいと感じる方でも質問しやすい環境であったと考えます。このように活発な質疑応答もありとても愉しく有意義な時間であったと感じました。日常業務にフィードバックできるよう努力していきたいと思います。

活動履歴

第1回 神奈川CT愉しむ会 参加報告(2023.2.4)

聖マリアンナ医科大学病院 石郷健斗

2023年2月4日に神奈川CT愉しむ会の発足後2回のイベントを経て初めてとなる総会が横浜情報文化センターにて開催されました。

新型コロナ感染症の流行もいまだ完全収束とはいかずに非常に難しい情勢のなかWEB配信ではなく現地開催のみという形式で行われた本会でしたが、当日の会場は活気にあふれており現地開催の醍醐味を味わうことができて非常に充実した時間を過ごすことができました。


一部ではありますが内容について報告させていただきたいと思います。

主な講演は次の通りです

技術講演

「PIQEって実際どうなの」横浜市立大学附属病院 森岡先生

「Photon-counting CTはここがやばい!」東海大学医学部付属病院 片山先生

特別講演

「頭部単純CT再考」自治医科大学 とちぎ子ども医療センター 松木先生


はじめに「PIQEって実際どうなの」というテーマでディープラーニングを応用した超解像画像再構成技術である「Precise IQ Engine(PIQE:ピーク)」について詳細の報告がされました。臨床画像において従来のFBPやMBIRと比較した際にわずかにCT値が上昇することや画像SDが大幅に低減すること、ファントムによる物理特性の比較においてはTTFやノイズ特性においても非常にすぐれた結果が示されていました。非の打ち所がないような技術のようにも思えますが、ピットフォールとしてCTO症例においてPIQEでは微小な側副血行路の描出ができずMBIRで描出可能であったという報告がありました。盲目的に技術を使用するのではなく特性をつかんだうえで使用していくことが大切であると発表されていて非常に感銘をうけました。現在冠動脈のみに使用可能な技術ですが今後様々な部位への適応が可能になった際にも特性の把握は必須だと感じました。


次に技術講演②「Photon-counting CTはここがやばい!」についてですが、Photon-counting CTの基本的な内容のおさらいからはじまり、従来型のディテクターとの比較や、多くの臨床画像を示されていました。様々な領域でインパクトの大きい画像が示されていましたが個人的には聴器領域や整形領域の画像がPhoton-counting CTならではの高分解能画像が生かされていて今後の診療が変わっていくような可能性を感じました。また常にスペクトラルイメージングが可能ですので、追加撮影無しで低KeV画像を追加作成するなどの使用法も示されていました。しかし一方で2つ以上のフォトンが同時にカウントされてしまうことによって起きる[Pulse Pile-up]など新たなる問題があることも知りました。今後は撮影条件の検討なども必要とのことで注視していきたいと思います。


最後に松木先生による特別講演が行われ「頭部単純CT再考」のテーマでお話をされていました。STAT報告を見据えてということで多くの症例が示されましたが、やはりまず正常解剖の理解がとても大切だと述べられていました そして加えて病態の理解を通して疾患に気が付くことができるとのことでした。ほかにもすぐに取り組めることとして間隙を意識して観察することや灰白質や白質のCT値を意識してみること、過去画像と比較することなど様々なポイントを教えていただきました。また読影においては確認すべき部位は決めて確認していくというルーチンの大切さも感じました 最後には読影の補助にも言及していて近年話題となっているSTAT報告も重要ですが、放射線技師としての大切な役目である撮影技術や撮影プロトコールをないがしろにしてはいけないとの言葉が非常に胸に響きました。

 

 講演は以上で終了でしたが配布された抄録集にはシリーズ企画「あっぱれKANAGAWA-CT大行進」として“肺動脈+深部静脈血栓症”の施設間の撮影プロトコールが示されていて、非常に興味深く読ませていただきました。

各施設で様々な考えがあることに改めて気が付いたとともに、自施設のプロトコールを見直す良い機会になりました。シリーズ企画ということで今後も様々な対象部位で調査が行われることと思いますので非常に楽しみです。


 自由な雰囲気の後押しもあり活発な質疑応答で非常に盛り上がっていました。 愉しく有意義な時間を過ごさせていただきました。

世話人の皆様、演者の先生方に感謝いたします。ありがとうございました。


第2回JOYING CT IN KANAGAWA MEET UP
参加報告書

東京ベイ・浦安市川医療センター 小島 基揮 2022/10/22

2022年10月14日に開催された第2回Joying CT in KANAGAWA Meet upに参加する機会をいただいたので、報告させていただきます。

本セミナーは川崎市総合自治会館を会場として開催され、約80名の医療関係者が参加されていました。

今回の第2回Joying CT in KANAGAWA Meetupでは

・Clinical session(症例検討)

・シリーズ企画 みんなで学ぼう物理特性 初めの一歩

で構成されていました。

Clinical sessionでは2名の先生が講演され川崎幸病院の高宮先生がTAVI後単純CTを撮影することで大動脈解離を同定できる可能性について詳細な説明・報告がありました。近年、治療件数が増加している手術ではありますが、TAVI後の単純CTをすべて撮影している施設は非常に少なく、それは当院においても同様ですがディバイス操作に起因する合併症について、術後に単純CTを撮影することで無症候性の合併症同定の向上について話され、無性候性疾患の存在と病的背景を知ることは大変重要であると思いました。

聖マリアンナ医科大学病院の石郷先生は、造影剤副作用について、発生頻度は低いが十二指腸から近位小腸を好発部位とする一過性の限局性腸管浮腫について詳細な報告がありました。平衡相でのみ確認できるという点は非常に興味深く、技師側がこのような知識を得て、合併症や副作用を意識し撮影および読影補助を行うことは、診断の一助となり大変重要であると感じました。


シリーズ企画 みんなで学ぼう物理特性 初めの一歩では「画像を波で評価する」について神奈川県立循環器呼吸器病センターの太田先生が講演されました。

撮影におけるパラメータをどのように構築するべきか、変更することで画質がどのように変化するか基礎の部分を詳細な説明がなされました。物理特性を理解し状況に応じ使い分けることが非常に重要であると感じました。


今回、第2回Joying CT in Kanagawa Meetupに参加し、自身の知見を向上できた大変貴重なセミナーでした。

会場参加型としていた通り活発な質疑応答もあり全体を通して非常に有意義な時間を過ごすことができ、貴重な症例やそれを支える物理特性などの重要性が必須であると感じました。

現在、Deep Learning等の技術の発展は目覚ましいものがありますが、このような基礎をしっかり学んでいくことが重要であると強く感じるとともに今回のセミナーで得た知識を自身の業務に活かしていきたいと思います。

会場風景

第1回 JOYIN CT IN KANAGAWA MEETUP参加報告

横浜市立大学附属市民総合医療センター 長谷川 伸明

2022年7月13(水)に第1回Joying CT in KANAGAWA Meetupが開催されました。神奈川CT愉しむ会として、記念すべき最初のイベント開催ということもあり、世話人一同楽しみにしておりました。本会は参加型の交流イベントであり、可能な限り顔出しでの参加と活発なディスカッションを目的としています。今回のテーマは『JRC2022 私はここを注目しました』として、若手・ベテランの方にご発表いただきました。
若手代表からは、2名の先生にJRC2022で注目した演題についてご発表いただきました。1人目は、昭和大学横浜市北部病院の松本渉先生になります。松本先生は、大原総合病院画像診断センターの三浦様の演題である『Deep Learning Reconstructionを用いた頭部CTにおける低線量撮影の可能性:通常線量撮影との比較』に注目されました。FBPを使用した通常線量画像とDLRであるAdvanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)を使用した低線量撮影の比較の報告でした。AiCEを使用した場合では、通常線量のFBPと比べてCNRにおいて遜色なく、視覚的にも同等の画像となっておりました。頭部CTの撮影線量は他の部位と比べて高くなっているのが現状ですが、症例を選びながら使用することも考えていきたいと思いました。
若手代表2人目は、横浜市立大学附属市民総合医療センターの高野雄介先生になります。高野先生は、大原総合病院画像診断センターの芳賀様の演題である『頭部CTにおける方向性管電流変調技術を用いた新しい水晶体被ばくの低減法』に注目されました。方向性変調スキャンであるOrgan Effective Modulation(OEM)とVariable helical pitch scan(vHP)を併用した水晶体被ばく低減方法の報告でした。この方法を用いることで、OEMを眼窩部に限局することが可能で、画質への影響を最小限に抑えることが可能とのことでした。既存の機能を組み合わせ、新しい手法を考案されている演題でしたので、非常に興味深く感じました。水晶体被ばく低減は非常に重要視されています。これらの機能が使用できる施設では、画像への影響をみながら臨床での使用も検討してはいかがでしょうか。
ここからはベテラン代表の2名の先生になります。1人目は、神奈川県立循環器呼吸器病センターの太田陽一郎先生になります。太田先生は、金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 保健学専攻の牛丸様の演題である『不均一構造に対するディープラーニングCT画像再構成のノイズ特性』に注目されました。逐次近似再構成法やディープラーニング再構成法などの非線形処理を有する再構成法では、対象構造のコントラストに依存した画質となります。そのため、対象を明確にしたタスクベースでの評価が主流となっていますが、現状では均一構造を模していることが多いかと思います。太田先生からは、AAPM TG233で報告された不均一構造の評価である、Noise magnitude mapとNoise reduction mapについて説明をいただきました。Noise magnitude mapでは、不均一構造部におけるノイズの分布強度を視覚的に捉えることができ、その分布は不均一構造に依存することになります。また、Noise reduction mapではFBPを基準とした場合に、非線形処理を有する再構成法でどの程度ノイズ低減が行われたかを示していました。この手法では、一概に不均一部のノイズ低減が行われているほど良いというわけではなく、FBPにおいて信号値として認識されている部分をどの程度保持しているのかを評価可能でした。これらの評価は、より臨床にあった評価法であると感じました。
ベテラン代表2人目は、東京ベイ・浦安市川医療センターの小島基揮先生になります。小島先生は、栗山赤十字病院の八巻様の演題である『カテーテルアブレーション術前CTにおけるTest Bolus Tracking(TBT)法と台形クロス注入法を用いた撮影法の検討』に注目されました。アブレーション術前CTでは左心系だけでなく、右心系の造影効果が必要な場合がある。右心系の安定した造影効果を得るために、台形クロス注入は有用であるが、アブレーション対象患者では心機能が低下している場合が多く、台形クロス注入でも造影効果にばらつきが生じやすくなります。TBT法を組み合わせることで、安定した右心系の造影効果を得ることができるという報告内容でした。小島先生からは、カテーテルアブレーションの基本的な手技の説明や、右心系の造影効果が必要な理由も丁寧にご説明いただきました。また、心拍出量が4L/minを超えてくる症例では、右心系の造影効果が安定しないといったご施設での経験もお話しいただき、アブレーション術前CTを実施している施設の方には有益な情報だったのではないでしょうか。現状のインジェクターの設定ではTBTと台形クロス注入の併用設定ができないため、今後のバージョンアップに期待です。
最後にアミン株式会社との共催セッションとして、聖マリアンナ医科大学病院の小川泰良先生に『3D画像処理の現状と新しいワークステーションの可能性』という内容でご講演いただきました。今回のITEM2022でザイオソフトから『Smart Imaging“みる”をシンプル、スマートに』をコンセプトにZiostation2に続く次世代ワークステーションのREVORASが発表されました。小川先生からはREVORASの一部機能の紹介と臨床での使用感をお話しいただきました。REVORASでは新たな画像表示法としてレンブラントとトランスペアレンシーという技術が搭載されました。レンブラントは光を垂直および水平方向から当てることで、よりリアルな画像をつくることができるそうです。トランスペアレンシーはオパシティカーブを下げることなく透過度のみを調整できる機能で、小川先生の施設では椎体術後の3D画像作成で使用しているそうです。骨の透過度のみを調整できるため、骨の質感を失うことなく、ペディクルスクリューとの位置関係が把握できるため整形外科の医師からも評価をいただいているそうです。また、3D作成時の展開可能なボリューム数が8から32に大幅に増加した点もZiostationユーザーにとっては嬉しいことではないでしょうか。製品版はまだリリースされていませんが、Ziostation2からユーザーインターフェースも一新され、より使いやすいワークステーションとなることに期待しています。
第1回のイベント開催で、内容も盛りだくさんでした。神奈川CT愉しむ会は、年1回の研究会と年数回のイベントを企画しています。CTを愉しみたい方との活発な意見交換の場としていただけるように活動していきます。今後とも神奈川CT愉しむ会をよろしくお願いいたします。

HP開設 2022.01.01

web open

神奈川CT愉しむ会がついに本格活動を開始しました。
HPも開設、m3.com HP開設できました
今後の活動にご協力お願いいたします

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